大人気のドラマシリーズ『ドクターX』はフリーランス医師の活躍を描いていますが、実際の医療現場にもフリーランス医師は存在するのでしょうか?
フリーランス医師の実状に触れてみましょう。
『ドクターX』は実在する?フリーランス医師の実状
出典:公式サイト
2017年10月からシリーズ第5弾の放送が開始された大人気ドラマ『Doctor-X 外科医・大門未知子』。
医療業界特有の人間関係を物ともせず、ただ己の技術を信じて重病の患者を救う痛快なストーリーが魅力のドラマシリーズですが、米倉涼子が演じる大門未知子のようなフリーランスのドクターは実在するのでしょうか?
その答えは「半分Yes、半分No」です。
まず、Yesの部分から見ていきましょう。
フリーランスのドクターは実在します。
全国の医師人口は30万人程度だと言われていますが、そのうちの1万人程度は特定の医療機関で勤務したり、自身のクリニックを持っていないフリーランスのドクターだというのです。
ただし、ドラマに登場するような『名医紹介所』のような団体は存在せず、産休・育休などを取得しているドクターの穴埋めとして勤務する紹介予定派遣という形態で勤務するのがセオリー。
つまりフリーランスのドクターが勤めるのは「休暇の穴埋めをする非常勤ドクター」という立場が実状なのです。
次はNoの部分です。
ドクターXの舞台は外科医療の現場ですが、現実的に外科のフリーランス医師は存在しません。
外科医療とは、ドクターが患者の担当医となりながらスタッフ一丸となって長期的に治療に取り組むため、フリーランス医師では不可能です。
特定の病院に所属してアルバイトとして手術をするドクターはいますが、ドラマのように完全なフリーランスで外科医療を担当するドクターは存在しません。
実際にフリーランス医師が多いのは麻酔科医。
患者の担当になることがなく、他のドクターの支援的な存在であり、さらに専門性の高いスキルを持っているため、1日単位での勤務が可能な麻酔科医が、フリーランス医師の大半を占めているのが実状なのです。
フリーランス医師の年収は?
ドクターXでは、病院に対して「1回の手術に対して数千万円」という法外な報酬を請求しているシーンが度々描かれており「フリーランス医師は高収入」というイメージを抱いてしまいます。
では、実際のフリーランス医師の年収はどのくらいなのでしょうか?
フリーランス医師の1日あたりの報酬の相場は10万〜20万円程度。
年間200日の勤務で年収2,000万〜4,000万円という計算になります。
開業医の平均年収が2,500万円というデータと比較すると、フリーランス医師は開業医並みに高収入だといえますが、社会保障や万が一の病気やケガで働けない場合の保障がないというデメリットは無視できないでしょう。