医療業界では、さまざまなトラブルを聞くことがありますが“診断書”にまつわるトラブルを耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?
患者さんの中にはインフルエンザや肺炎などを理由に休む際、会社から診断書の提出を求められているから診断書が欲しいと言われるケースも少なくありません。
そんな医師という立場上お馴染みの書類ですが、トラブルに繋がってしまうこともあるようです。
診断書を安易に出してはならないのか?
そもそも「医師法」で定められているように、患者さんから診断書や検案書、出産証明書などを求められた場合、医師は“正当な事由”がない限り、請求を拒むことはできません。
そのため、患者さんに求められたから、すぐに診断書を出したという医師も多いでしょう。
しかし、安易に診断書を出すことはトラブルの元になってしまう可能性もあります。
診断書を求められたら拒めないと認識してしまう医師もいるようですが、前述のように“正当な事由”があれば拒むことができます。
具体的に“正当な事由”とは何かと言うと、例えば「詐欺」や「恐喝」などの犯罪に利用される可能性がある場合です。
このように、安易に診断書を出すのではなく、犯罪に利用されるかどうかなどを考慮した上で、診断書を出していくと良いでしょう。
不要なトラブルを避ける手段となります。
また、診断書は原則として本人が請求するものです。
診断書はプライバシー情報です。
その為配偶者であっても、本人以外が診断書を請求する場合は出さないようにしましょう。
※未成年の場合はその限りではありません。
虚偽内容の診断書を作成すると?
虚偽内容の診断書を作成するという医師はほとんどいませんが、これは大きなトラブルの元となります。
また、市立や県立病院で公務員の医師として働いている場合“虚偽診断書等作成罪”に問われることになる可能性が高いでしょう。
風邪の診断書を作成する際に、患者さんから肺炎として書いて欲しいと言われると、大抵の医師はNO!と言えますが、このようなパターンだけではありません。
例えば、人情に訴えかけてきたり、延々と頭を下げてお願いしてきたりする患者さんもいるでしょう。
善意から虚偽内容の診断書を作成してしまう医師もいないとは言えません。
しかし、善意であっても違法性があるのは変わらないため、注意が必要です。
また、刑事事件等で診断書を出してほしいと言われた場合等は、内容についても注意が必要です。
不確定なことを書いてしまうと、医師が証人尋問を受けることもありますので注意しましょう。
まとめ
診断書は患者さんにとっても大切な書類です。
そして、そんな診断書を作成する医師は大きな責任がつきまとってきます。
トラブルになると予測できそうな患者さんには診断書を拒否するという選択を持ちつつ、必要な分だけ診断書を作成していきましょう。