増え続ける乳がん患者。
乳がんを調べるための検診もかなり盛んに行われるようになっています。
その検診に不備があるのではないか、という主張がなされ、乳がん患者会などの有志団体が乳がん検診の見直しを厚生労働大臣に提言しました。
いったいどのような不備があるのでしょうか?
今回は、現在の乳がん検診についてみていきたいと思います。
①キーワードは「高濃度乳房」
いったいどのような不備があるのでしょうか?
重要なキーワードは「高濃度乳房」です。
高濃度乳房とは、乳腺の密度が高い乳房のことを指します。
乳房の内部は、主に脂肪と乳腺組織からできており、乳腺組織が多く存在することを「乳腺濃度が高い」と言います。
乳腺濃度が高いと、乳がん検査で使用するマンモグラフィーを通して乳房を観察したときに、真っ白に見えてしまいます。
乳がんが発生している部分は通常マンモグラフィーに白く映るため、乳腺濃度が高いと乳がんがあるのかどうか判別することが難しくなってしまうのです。
②検診の不備とは?
従来の乳がん検診では、乳腺濃度が高いために異常を見つけにくい「高濃度乳房」であったとしても、検診を受けた人にそのことが通知されていませんでした。
乳腺濃度が高く判別できないのに「異常はありません」と通知することになってしまい、本当に異常がないのかどうか明確にしないまま検診を終えてしまっていたのです。
こうした検診の不備をうけて、数多くの有志団体が抗議の声をあげたのです。
有志団体は、高濃度乳房であれば「乳腺濃度が高いためにマンモグラフィーでは判別困難」ときちんと通知するようにしてほしい、と国の指針の改正を要望しました。
加えて乳がん体験者や専門家で構成する検討会議を設置することや、乳腺濃度が高いとがんが見えないというマンモグラフィーの欠点を補うことができる超音波検査の体制の整備などの全7項目を厚生労働大臣に要望しました。
これまでの体制の影響で、実際に定期検診を決められたとおりに受けていたのに、後日がんが進行しているのが判明したというケースもあったそうです。
乳がんは早期発見が何よりも大事ですから、今後そのようなことが起こらないように国の対策に期待したいところですね。