開業スタッフの人数、問題は人件費?
これからクリニックを開業しようと考えているドクターが間違いなく頭を悩ませる問題は「オープニングスタッフの人数」でしょう。
クリニックの運営はドクターひとりでは絶対に成り立ちません。
最低でも受付と事務作業を兼務する医療事務スタッフと、診察や検査などドクターの補助ができる看護師が必要です。
スタッフの必要人数は診療科目ごとに異なり、最小単位では心療内科ならドクターと受付事務スタッフだけでも運営することができます。
一方、内科などでは検査対応などが多く、小さなクリニックでも事務スタッフのほかに2名以上の看護師が欲しいところですね。
どの診療科目においても、スタッフの人数が多ければ各人の業務負担は軽減されて、時間内に数多くの患者さんの対応をすることが可能になることは間違いありません。
ところが、ほとんどの場合、クリニックを新規開業する際には必要最小限の人数でスタートすることになります。
その理由は人件費。
クリニックの初年度の売上高は、概ね4,000万円前後だと言われているので、物件や設備投資への支払い、日々のランニングコストなどを差し引くと、スタッフに対して支払う人件費は1,000万円以内に抑える必要があります。
すると、1人あたり月給20万円でも年間240万円。
年間240万円だと、1,000万円以内に抑えるには4人しか雇用できない計算になります。
この見通しができないままスタッフの人数を増やしてしまうと、初年度から人件費だけで利益を食いつぶしてしまい、クリニックの経営が出だしからつまづいてしまうのです。
<初年度のスタッフはパート・アルバイトで増員>
初年度のオープニングスタッフに費やすことができる予算が1,000万円だと考えた場合でも「4人では運営が困難」という場合もあるでしょう。
ここで活躍するのが、パートまたはアルバイト契約のスタッフです。
常勤スタッフ1人分の人件費があれば、午前中だけのパートやアルバイトなら2人以上の雇用が可能になります。
常勤の正規雇用スタッフで埋めることを考えず、人手が欲しい時間帯にパートやアルバイトのスタッフを増員することで、人件費は大幅に圧縮できます。
例えば、診察開始から午前中までは患者の数が多く素早い回転が求められるので看護師や事務スタッフをパートで雇用し、午後からの比較的余裕を持って診察できる時間帯は常勤スタッフだけで運営するのも良いでしょう。