個人事業主としてのクリニック売却の注意点とは

Doctor shakes hands with patient in the background of the window.

クリニック売却は最期の大仕事!

最近では、個人クリニックのドクターの高齢化・後継者不足などの問題から、クリニックを閉鎖するケースも増えています。

クリニックの閉鎖によって困ってしまうのは、誰よりもそのクリニックをかかりつけ医としていた患者であり、次いでクリニックの運営を支え続けてきたスタッフでしょう。

クリニックの閉鎖は、患者にとってもスタッフにとっても大きな問題であるため、いかに個人事業主であってもクリニックの存在を安易に無きものにすることはできません。

そこで、ドクターにとって一つの選択肢となるのが「クリニックの売却」です。

クリニックを継承したいと希望するドクターにクリニックを有償譲渡することで資産を残した上で、周辺患者の利便性とスタッフの収入を確保することが可能となります。

クリニックの売却は、買い手となるドクターを探す作業、官公庁への手続きや取引先との契約関係の整理、患者への周知、スタッフの継続雇用または退職など、するべきことの多い大変な作業となります。

クリニック経営における最期の大仕事として、売却に向けた準備に尽力することになるでしょう。

 

売却時にできるだけ多くの資産を残すために

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クリニック経営の最期を締めくくるクリニックの売却。

できるだけ多くの資産を残して、売却後の生活や新規事業の支えとしたいところです。

ここで個人事業主であるクリニックのドクターに注意して頂きたいのが、売却時の税金のこと。

クリニックの売却によって手にする利益は「クリニックの売却額−(クリニックの取得費用+売却にかかった費用)」で算出されます。

算出された利益を『売却益』と呼び、当然ながら売却益は所得となるため所得税が課税されますが、ここで問題となるのが所得の種類です。

単純にクリニックという物件を売却したと考えれば、クリニック経営における『事業所得』と解釈することになり、売却益に対して最大で55%もの所得税がかかってしまいます。

ところが、単にクリニックという物件を売却したのではなく、物件をはじめ機器類・患者・スタッフを含めた営業権を有償譲渡したと考えれば『譲渡所得』と解釈することができます。

5年を超えて経営していたクリニックを有償譲渡した場合は「(売却益−50万円)÷2」が譲渡所得となるため、所得税の基準となる所得額が抑えられて、手元に多くの資産が残ることになります。

クリニックの売却益を譲渡所得とするためには、患者やスタッフを含めた経営権の譲渡であることの証拠や、契約書面が『事業譲渡契約書』という体裁を保っていることが重要です。

長年、クリニック経営という大仕事をしてきたドクターが、売却によって得た資産を納税によって大きく削られることを防ぐためにも、譲渡所得と認められる売却形態を取ることが重要です。

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