クリニックは「わが街のお医者さん」という公的な側面を持っているとはいえ、やはり個人事業であることに間違いはありません。
クリニックの窓口で医療費の支払いをしない、いわゆる『窓口未収金』は、個人事業でいえば売掛金の未回収と同じこと。
いくら医業収入の大部分が国民健康保険や社会保険によって支えられているとはいえ、小口の現金収入が滞りなく得られないと、経営に大きな打撃を与えます。
自由診療がメインとなる診療科目であればさらにダメージは大きくなるので、窓口未収金は軽視できる問題ではありません。
ここでは、クリニックの窓口未収金問題の対処法について紹介していきましょう。
まず窓口未収金の発生原因を知る
もしすでに窓口未収金が発生しているのであれば、対処法を検討する前に「なぜ窓口未収金が発生するのか?」と突き止めることから始めましょう。
窓口未収金の発生原因は、大きく分けると3つに分類されます。
まず1つ目は単なる窓口職員の管理不足によって発生するケースです。
前回の診療費の不足分を次回に合算するはずが失念していた、未収金であることを記録していなかったなどは論外とも言えますが、実際の現場でも往々にしてこのようなミスが発生しています。
2つ目は患者が不満を抱えて支払いを拒絶しているケースです。
通院を続けているが快方に向かっている気配を感じられない、ドクターやスタッフの応対が気に入らないなど、患者が医療費の支払いを拒むと窓口未収金に発展してしまいます。
3つ目は金銭的問題で支払いができないケースです。
入院や手術など一度に支払う金額が大きくなると窓口未収金になったり支払いが大幅に遅れやすい傾向があります。
なぜ窓口未収金が発生しているのかを究明することは、窓口未収金問題解決の第一歩です。
窓口未収金問題の対処法
窓口未収金を根絶するための対処法について考えていきましょう。
まず窓口職員の管理不足については、業務怠慢などであれば厳しく配置換えをおこなうべきです。
窓口職員が複数名の場合は相互チェックの体制を整えるなどの方法も有効でしょう。
次に患者が不満を抱えて支払いを拒絶しているケースでは、どのような不満が存在するのかを明らかにして対応策を検討すべきです。
たとえば、病状などへの不満はできる限りの情報開示をおこなって納得してもらう、ドクターやスタッフの応対への不満であればアンケートを実施したり相談窓口を開設するなどして患者の意見を真摯に受け止めて改善につなげるべきです。
金銭的問題で窓口未収金が発生している場合は、電話や文書で支払いを督促するのが先決ですが、それだけでは根本的な解決には繋がりません。
預り金制度や分割支払い制度を導入する、保証人を設けたり家族などの連絡先を聴取する、高額の自由診療については与信調査をおこなって上限額を定めたりクレジットカードでの支払いを導入するなどの方法で、窓口未収金の発生を抑えることができます。
今現在において発生している窓口未収金の回収方法も重要ですが、最も大切なのは「窓口未収金を発生させないこと」です。
特に窓口未収金が目立つ場合は、3つの発生原因のうちのどの分類に属するのか、どのような改善方法が有効なのかを分析のうえで実践していきましょう。