クリニック経営をビジネスとして捉えるのであれば、周辺にある同じ診療科目のクリニックは競合相手となり、ビジネス上のライバルとなります。
これが他業界の話であれば「競合相手に打ち勝ち、市場を独占するには?」という思考が重要となってきますが、クリニック経営においては競合相手に勝つことも重要ですが、競合相手と協力することも重要になります。
ここでは、クリニック経営における競合との連携について解説します。
病診連携による的確な医療サービス
たとえば販売業やサービス業では、他社・他店にはない商品やサービスを提供して市場を独占することでビジネスが成功します。
では、クリニックはといえば、確かに新規患者を集めることも大切ですが「できること・できないこと」の棲み分けが必要となります。
わがクリニックを訪ねた患者は全て最後まで診療するという精神は大切ですが、クリニックでは設備や体制が整っておらず、検査・手術・入院などが必要であれば対応できないこともあります。
そこで、クリニック経営には「病診連携」が必要となってきます。
病診連携とは、大病院とクリニックの連携を指します。
大掛かりな設備がないと検査・治療ができない場合や、診察時間が長引く傷病などは、クリニックから速やかに提携関係のある大病院に紹介することで、患者にとってもクリニックにとっても有益となります。
競合クリニックとの診診連携がもたらすメリット
クリニックはいわば「街のお医者さん」という存在です。
大病院であれば診療時間に対して厳密な面があるし、時間外であっても当直体制が確立していますが、クリニックでは急患を受け付けていると1人のドクターが24時間体制で診療にあたることになります。
これでは、1人のドクターに対する肉体的・精神的な負担が大きくなってしまいます。
ある地域では、同じエリアにあるクリニック同士が連携して24時間医療の体制を整備しています。
カルテの共有にはドクターも抵抗感があるため、共有する情報はあくまでも患者の氏名や連絡先のみで、主治医が連絡を受けた後に当番医に連絡することで、これまでの経過などを伝えることが可能となっています。
このような診診連携の体制を確立することは、ドクターの負担軽減だけでなく、患者が安心して治療に専念できるという面でも大きなメリットがあります。
たとえ競合相手といえども、診診連携を進めていくには日頃からドクター同士のコミニュケーションをはかり、協力体制を強化させていく必要があるでしょう。