開業医を目指しているドクターのなかには「果たして、現在の経験やスキルで開業しても大丈夫なのか?」という不安を抱えている方もいるでしょう。
開業医になるために積んでおくべき経験についてお伝えしていきます。
専門の診療科での経験
開業までに必ず経験しておくべきなのが専門の診療科での勤務です。
年間に約5000件のクリニックが開業しているといわれていますが、それとほぼ同数が廃業している現代においてクリニックが生存するためには、他のクリニックとの差別化は必須です。
経営が順調なクリニックは、ある症例についての専門的な治療によって集患に成功しているケースが多く、開業後に専門的な見地で診療をおこなうためには、専門の診療科で勤務しスキルを充実させる経験が必要です。
ただし、専門の診療科で経験を積んでおけばそれでいいというわけではありません。
市場には『ニーズ』という考え方があります。
開業を予定している地域が、その専門の診療科のクリニックを求めているのかにマッチしないと、どんなに専門的な診療ができても需要がないため廃業に追い込まれます。
ある症例に特化したような非常に専門性が高いクリニックを開業するのであれば、多様なニーズが集中する都市部での開業を選択するほかないでしょう。
総合診療科での経験
開業医として独立したときに必ずや役に立つだろう経験が『総合診療科』での勤務です。
総合診療科のことを「器用貧乏である」とか「広くて浅い」と考えている方がいるかもしれませんが、その評価は改めましょう。
総合診療科は、単なる患者と専門医のつなぎ役ではありません。
もちろん、専門医の知識とスキル、専門治療に必要な機器や設備が必要な場合は速やかに連携を図りますが、実際にはさまざまな症例の主治医として診療に関わることになります。
現実的には9割に近い患者の主治医となるというのですから、オールラウンダーとしてのスキル形成に非常に役立つ経験となります。
クリニックは地域医療の窓口的な役割を担います。
医療の知識を持たない一般の患者は、具体的な説明はできないが不調であると訴えることが多いので、複眼的な診断能力を高めるには、総合診断科での勤務は絶好の経験となるでしょう。