病院を開業する計画を練るにあたって、ごく初期段階に考えることになるのが「土地を購入・所有するのか、それとも借用するのか」という問題です。
どちらを選ぶのが賢い選択となるのでしょうか?
<開業資金が豊富なら購入・所有がおすすめ>
土地を購入して所有すれば、病院開業の自由度は大幅に広がります。
外観のデザイン、駐車場から建物への動線など、思いどおりの病院づくりが可能になります。
むしろ、自由度が高い病院づくりを目指すなら、土地の購入・所有は当然ともいえます。
ある程度の自己資金が用意できていれば金融機関も十分な融資をしてくれるはずですから、資産価値を考慮すれば少々の高額物件となっても購入・所有は非現実的な話ではありません。
ただし、借入金が増える、毎年の固定資産税・都市計画税が課税される、維持管理のコストがかかる、移転・撤退が容易ではないという点においては、大きなデメリットがあります。
診療科目によっては大がかりな土地・建物が不要な場合もあるので、コンパクトな開業を検討しているドクターには購入・所有はおすすめできません。
<土地の借用はキャッシュフローを向上させる>
テナント物件というほどコンパクトな規模を考えているわけではなく、かといって開業資金はできるだけ抑えたいと考えているなら、土地を借用するのがおすすめです。
借地にすることで、固定資産税・都市計画税といったコストの削減が可能となり、地代を支払うだけで土地の管理も不要になります。
仮に病院を20年間経営した場合、土地を購入・所有する場合と比較すると数千万~1億円程度のキャッシュフロー向上も期待できます。
借地で開業すると、将来的に土地を取得することはできませんが、契約形態によっては半永久的に土地の借用が可能です。
「普通借地」の場合、契約期間は最低30年で、1回目の更新によって20年以上、2回目の更新では10年以上の借用が可能です。
つまり、更新を含めると50~60年を超える借用が叶うので、借地上に病院を建てても「もったいない」と感じることはまずないでしょう。
「定期借地」では、一般で50年間、事業用で10年以上50年未満の契約となります。
開業資金を抑えたいと考えていて、医院継承の可能性も見当たらない場合は、事業用の定期借地で30~40年程度の借用とし、木造または軽量鉄骨で建設すれば、大幅なコスト削減が実現します。