病院経営が軌道に乗ると、事業拡大のステップとして医療法人化を検討することになるでしょう。
医療法人化するメリットとタイミングについて解説します。
<医療法人化のメリット>
個人経営の病院を医療法人化する大きなメリットは、経済的な視点と事業拡大の視点に集約されます。
まず、医療法人化することで、これまで個人事業主だったドクターは「医療法人から給料をもらう」という立場になります。
給与所得者になると、給与所得控除が適用されるだけでなく、所得税や住民税も法人課税となるため税率が下がります。
個人の場合は所得税と住民税で最高55%の税率が課せられますが、医療法人化することで約35%にまで軽減され、大幅な節税が可能です。
就業規則で退職金規定を設けておけば、退職時に退職金の支払いが受けられるようになり、退職所得控除による非課税枠の恩恵を受けるため、退職までに給与として分散させるよりも節税効果が高くなります。
医療法人化すると、事業拡大も容易になるという点は見逃せません。
分院、介護事業所などの開設といった事業拡大には、医療法人化が必須です。
子息に医院継承する場合でも、医療法人化していれば新たな病院開設の手続きが不要となります。
医療法人化には大きなメリットがあるので、病院経営の第2ステップとしてイメージしておくと良いでしょう。
<医療法人化のタイミング>
医療法人化を検討するタイミングとしては、次の3つが目安となります。
まず「社会保険診療報酬が5,000万円を超えるか」です。
社会保険診療報酬が5,000万円以下の場合、特例によって、必要経費の算入を実額ではなく概算経費で適用できます。
社会保険診療報酬と自由診療の合計額が7,000万円以下の場合も同様です。
これを越えてしまうと、概算経費の特例が適用されなくなるので、医療法人化して優遇措置よりも大きなメリットを見いだすべきでしょう。
「事業拡大を検討している」という機会も医療法人化には絶好のタイミングとなります。
個人医院では分院や介護事業所の開設ができないため、事業拡大の案が持ち上がった場合は医療法人化を目指すべきです。
「次世代への継承」を考えている場合も、手続き面がスムーズとなるため医療法人化が有効です。
これらのタイミングに合致している、または検討中であれば、医療法人化に向けて動き出す絶好の機会となるでしょう。