日本医師会が開業医を対象に実施したアンケートで「開業の動機は?」と質問したとこと、回答の第1位に挙がったのは「理想の医療の追求」でした。
確かに、勤務医では経営首脳陣の方策に従わざるを得ない場面が多く、ドクター自身が理想とする医療とは大きくかけ離れてしまうでしょう。
勤務医時代とは違う?開業医の3つの心構え
長い勤務医時代に感じた不満を解消すべく、理想の医療を追求したいと考えるドクターが多数であることは至極当然です。
ただし、独立したドクターとして開業するにあたっては、理想の医療を追求するだけの立場であってはいけません。
勤務医と開業医の決定的な違い、それは「経営者・管理者・医師としての3面性を持つこと」です。
この自覚なくして、開業医が成功することは絶対にありません。
勤務医に求められるスキルは、勤務先の意向に従った医療を医師として全うする能力を持つことです。
後輩の教育指導などを任せられたりもしますが、あくまでも母体である勤務先における中間的な管理者の立場を超えることはありません。
開業医になると、まず第一に必要なのが経営者としてのマインド、次に必要なのがクリニックの運営全般における管理者のマインドがあって、そこではじめてドクター自身が理想としてきた医師としてのマインドを貫くことが可能になるのです。
経営者として、管理者として
勤務医であっても開業医であっても、医師である事実は変わりません。
ただ、自分自身が理想と描いている医療を貫くことが可能か不可能かの違いでしかありませんが、理想の医療の追求は、集患には重大な影響を与えません。
なぜなら、クリニックを訪ねてくる患者は、ドクターが理想の医療を追求している事実を知らずに、近場であるとか、スタッフの対応が良いとか、ドクターが丁寧に病状を説明してくれるなどの基準でクリニックを選んでいるからです。
クリニックの開業には多額の融資を受け、長い年月をかけて返済することになるので、綿密な事業計画をもとに健全な運営を目指す必要があります。
広告や宣伝などの集患施策も必要になるでしょう。
これはドクターに明確な経営マインドがないと不可能です。
また、多数のスタッフを抱える中で、クリニックが円滑に運営できるための管理マインドも絶対不可欠です。
クリニックが健全に経営を続け、スタッフへの管理が行き届いてこそ、ドクターは理想の医療の追求が可能になるのです。
開業医としてのスタートダッシュ時期にあるドクターは、早急に「勤務医時代とは立場が違う」と頭の中の切り替えをおこないましょう。