歯科医院の開業で事業計画書が必要な理由
歯科医院を開業する場合、数千万円単位の初期費用が必要です。
いかに収入が他の職業と比較すると突出しているドクターといえども、自己資金のみで右から左に支出できる金額ではありません。
そこで、歯科医院の開業に必須となるのが金融機関からの融資です。
しかし、いくら相手が信頼性の高いドクターでも「開業するから融資して欲しい」とお願いするだけでは、それまでに取引があった金融機関であっても大金を融資してはくれません。
そこで「開業するといくらくらいの収入と支出があり、この程度の利益が見込める」と説明する資料を提示して融資の有益性をアピールします。
これが『事業計画書』です。
事業計画書の出来栄えは融資の可否を左右し、ひいては開業の可否までをも左右する重要な位置付けであると考え、発展的かつ堅実な事業計画書を作成しましょう。
歯科医院開業に向けた事業計画の作成方法
歯科医院の開業に向けて作成する事業計画書について、作成のポイントをいくつか挙げていきます。
まずは「身の丈にあった計画であること」です。
日・月あたりの患者数、報酬額があまりにも現実離れをした甘い試算であれば、融資担当者に「この計画では目標達成は困難だろう」と見抜かれてしまい、希望の融資額に届かなかったり、融資自体を断られてしまうおそれがあります。
次に「自己資金2割」です。
歯科医院の開業を全額融資で、という計画はNGです。
開業に投入できる自己資金額は、ドクターのそれまでの経済感覚を表す指針でもあり、融資の可否を判定するための重要な材料となります。
初期投資額の5割、少なくとも2割の自己資金を投入して開業する計画が現実的です。
「事業コンセプトのアピール」は必須です。
単にありふれた歯科医院を開業するのではなく、例えば審美歯科や子ども診療に特化したり、早朝夜間の診療をおこなうなど、個性を前面に打ち出した事業コンセプトを存分にアピールすることで期待可能性を高めましょう。
「将来の展望」も重要です。
今回の歯科医院開業をゴールとするのか、または10年後、さらに20年後には事業を拡大するビジョンを描いているのかは、融資をビジネスだと考えている金融機関を動かすために大切な要素です。
ドクターの独善的な試算で作成した事業計画書は、ドクター個人の将来の展望図でしかありません。
税理士や開業コンサルタントなど、歯科医院開業の専門家に協力を仰いで作成するのが賢明でしょう。