がん治療薬として高い効果が期待される「オプジーボ」。
小野薬品工業という会社が開発し、がん治療に大きな進展があるかもしれないということで注目を集めました。
同時に、医療界ではこのオプジーボに関する大激論が続いています。
今回は、がん治療薬「オプジーボ」についてご紹介します。
1.オプジーボの効果
オプジーボは別名、免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれます。
通常、がん細胞ができるとキラーT細胞という免疫細胞ががんを攻撃します。
そこでがん細胞は攻撃を防ぐため、免疫細胞のはたらきを弱めるPD-L1という物質を作り出してしまいます。
オプジーボはその免疫機能のはたらきの制約を外して、身体が本来持っている、がん細胞を攻撃する非常に強い力を発揮させるよう促す薬なのです。
一方で強すぎるがゆえに重い副作用が出るケースもあるそうです。
別の症状が重篤化した例や死亡例もあるとのことで、副作用の危険性も問題視されています。
2.高価すぎる薬
オプジーボは効果が強い一方で、高すぎる薬として各方面から非難を浴びています。
2014年には皮膚がん、2015年には肺がんで保険が適用されました。
しかし保険が適用されても、例えば体重60キロの肺がん患者が1年間オプジーボを使うと約3500万円かかると言われています。
年40兆円を超え年々増加している医療費をさらに増大させてしまい、公的医療保険にとっての大打撃になるという懸念があります。
安倍首相をはじめ、政府の経済財政諮問会議のメンバーからも値下げをすべきという声が上がっています。
では、なぜこのように高額になってしまったのでしょうか?
3.先に肺がんに適用していれば……
オプジーボが高額になってしまった理由は、保険適用の順番によるものです。
オプジーボのような新しいタイプの薬の価格は、研究開発費・製造費などの諸経費と営業利益を足して、それを予想される使用患者数に応じた販売数量で割って算定して決められます。
要は使用患者数が多いと想定されれば安く、少ないと予想されれば高くなる仕組みなのです。
上述の通り、2014年にオプジーボに最初に保険適用されたのが、予想患者数が約470人と少ない「皮膚がん」でした。
そのせいで薬価が非常に高額になってしまったのです。
2015年に肺がんの患者にも使えるようになりましたが、そのときの予想患者数は約1万5000人と、皮膚がんの30倍以上でした。
これを見ると、先に肺がんに保険を適用しておけば価格はもっと抑えられたのではないかと考えられます。
ただ、がん治療に高い効果を発揮するのは事実なので、今後少しでも安くなってがん患者達がこれを選択肢として考えられるようになっていってほしいものですね。